ビクターEverio GZ-X900フルHDビデオカメラ・ファーストインプレッション

先日、故障してしまったテープ方式HDVビデオカメラの代替として
店頭で、たまたま格安の展示品を見つけ購入したハイビジョンカメラですが、
試し撮りが出来ましたので、使い勝手等も含めレポートしたいと思います。
画質等の評価については、HDMI接続のLEDバックライト仕様の
フルHD(1920x1024)モニターにて、色域の広いxvColorモードにて
撮影・表示しています。
他にも以前からレビューで利用している、放送局でも使われている
業務用のSONY LMD-230WというHD-SDI/コンポーネント対応の
HDマルチスキャンモニターもあるのですが、結線するのが面倒なので^^;)
今回は、まだ接続していません。


一言で言うと、発売1年足らずで現在となっては、
新品でさえ普通に3万円しない価格で入手出来る機種にも関わらず、
良い買い物が出来たと思います。


試した限り、屋外での晴天〜曇天下であれば、数十万円〜百数十万の
カメラとの性能差は、僅かなものだと思います。
むしろ無いに等しいと言っても過言では無いでしょう。
このように、条件によっては、1千万近い、放送用レンズ+カメラにも
匹敵する画質とも言えます。
逆に言えば、それらの高価なカメラとの違いは、今となっては、
室内・暗所、例えば一般家庭や、劇場の舞台や、体育館、
夜間のスポーツ施設等で、日中屋外と同等な画質で映す事が出来るか程度
の違いでしかありません。


曇天下で遠景を撮影しても、一番荒が出るワイド端でも、画面の四隅まで、
きっちりフォーカスが取れており、収差は全く感じられません。
それと同時に、感じられるようなノイズ(ざらつき)は一切有りません。
ダイナミックレンジ(画面中の輝度の差の補正)についても、過去の
CMOSカメラ同様、放送用3CCDカメラと遜色がありません。


晴天だけでなく、曇天程度でも、問題無い解像感や、
ノイズの少なさ、色の再現性(暗所での色の乗りの良さ)
を感じる事が出来ました。
自分の使い方(屋外でのイベントの記録)では問題が無さそうです。
ちなみに標準設定ではなく、より条件の厳しい、暗所での
スローシャッターへの自動切換えからAGC(スローシャッター非適用)
に切り替えています。


まずは、十分なCCDのサイズと画素数が理由でしょう。単板とはいえ、
放送用HDビデオカメラ(1/3〜2/3インチ)と、同等な1/2.33インチサイズ
というCCDサイズが採用されている事によって
光学系・レンズに必要な性能に余裕が生まれたのではないかと思います。
素数も、フルHDでは十分過ぎる画素数です。
これは何れも最近になって各社から出てきている、一眼レフの
ハイビジョン動画撮影可能なデジタルカメラにも言える事ですが。


発売当時の評価記事等を見ると、ワイド端の画角の狭さ、
光学ズーム倍率の低さを批判している記事ばかりが目立っていましたが、
私は、その評価は開発者の目的からは、外れているような気がします。
上記で書きましたように、解像感の高さ、ワイド端での、遠景の撮影を
した場合の透明感は、今まで触った家庭用カメラでは比類の無いものです。
敢えて光学系に無理をしなかった事を、私はむしろ評価すべきと思います。
そもそも、ハイビジョンカメラに、ズーム操作は必ずしも必要が無い
気がします。必要な画面範囲を、固定して撮影すれば、その範囲での
事象は十分な情報量で伝わるからです。
そういったマニアや一般消費者向けの記事の編集者にしても、
未だに従来方式のテレビカメラと、ハイビジョンカメラの撮影方法の
違いが分かってない人が余りにも多すぎる気がします。


購入検討時、同等な価格で、初期の他社3板フルHDビデオカメラも
入手可能であったものの、画素数が52万画素*3板という事に、
少々不安を感じた事もあり、結果的に、これで良かった気がします。
詳しく書くと長くなるので割愛しますが、以前に書いたように、
一般的に言われる白黒パターンでの解像度と色がついた映像での
解像度は別のものなので、理論的には、古い機種ではフルHDとは言っても
あくまで、それについては擬似的な条件での話であって、
撮影条件によっては間違いなくフルHDに達しない場合がある為、
それよりは単版480万画素の方が、解像度という意味においては
間違い無さそうな気がします。色の再現性も同様ではないかと思います。


当初、AVCHD方式ビデオカメラが発売された当時は、ビットレート
もっと低いレートでしか記録できなかったようで当時、HDV方式と
比較して、あまり評判が良くなかったのは、記憶に新しいのですが、
その点も24MBpsの高ビットレートと、AVCHD方式(MPEG4/H.264相当)の
アルゴリズムでの圧縮と併せ、少なくとも、一般ユーザーレベルの利用
1度撮影したまま、保存・再生だけでは、HDV方式と比べても、
遜色は無いのではないでしょうか。
但し、テレビ放送での素材撮影の場合等、
撮影した後、放送局内で行われるような高度で複雑な編集、圧縮・伸張
その後の、放送時点での送信・送出時の再圧縮を繰り返すような環境では、
その限りではありませんが。


余談ですが、昼過ぎ〜夕方前に撮影してみたのですが、
雲が晴れてゆくのと同時に刻々と変化しつつ、オレンジ色がかる空や、
景色を映しても、カラーバランスはAUTO設定にしていたにも関わらず、
その点については、しっかり反映され変化しており、
無理な色補正を行ったりしていないところには、好感が持てます。


記録レートは最高のUXP(24MBps)でしか試してないものの、
今となってはSDHCカードも安いので、これで問題無いでしょう。
約6万円払って現在主流の32〜64MBのメモリー内臓カメラを
買うのも良いかとは思いますが、
後々のメモリーカードの値下がりに期待できるメリットも有ります。
また、途中カードを入れ替えれば、それ以上の長時間撮影も可能です。


私も現在、32GBを3000円程度で入手出来る通販で
発注したところです。理論上24MBps=3MByte/secの転送速度となるので、
メーカー推奨はClass6(6MByte/sec)の連続書き込み速度ですが、
実際にはPC上で4MByte/sec以下の実測値のカードでも問題無いようでした。
但し室内で少し試しただけなので、ビットレート
実際の最高値24MBpsに達していない可能性もあります。
近いうち、画像圧縮がかかりにくく、ビットレートが上限に達するであろう
水面や、木の葉を撮影して確認してレポートする予定です。


もう1つ、特筆すべきは、SDHCへの記録フォーマット
AVCHDの互換性の高さでしょうか。
やはり先日購入した、SONYのブルーレイレコーダー BDZ-RS15に、
IO-DATAのかなり異端なUSB接続メモリーカードリーダーを付けた所、
何の苦労も無く、一発で完璧に取り込めました。これは凄い事だと思います。
BDレコーダーの価格、実売4万円程をプラスすれば、
いきなりビデオカメラからメモリーカード経由で、
長時間の録画タイトルをブルーレイに焼けるという事です。
非力なPCしか持ってなくとも良いので、
これは、とても便利だと思います。


それと同時に、少々気になったのは、PCにメモリーカードリーダーを
付けて読み込んで再生したところ、Core2Duoの比較的新しいPCにも関わらず
フレームレートを落とした(それこそ映画の24コマみたいな)の状態でしか
再生できなかった事です。記録フォーマットの関係なのか、
単純にPCの性能なのかもし、この状態で見ている人がいたとすれば
勿体無い事です。勿論本来1080i/60pの記録ですから、直接モニターに
映したり、BDレコーダー経由でハイビジョンモニターに映せば、
地上波デジタル放送と同様滑らかに表示されます。


また、本体内蔵時のバッテリーが1種類のみ、1時間半程度の
撮影時間ですがこれは現在の、他社の、どの機種の標準環境でも
殆ど変わらないようですね。私は外部バッテリーを
自作する事にしたのですが、既に純正DCケーブルも入手済みなので、
そこらの話についても追々、書きたいと思っています。


※簡単ですが、こちらに自作バッテリーのレポート書きましたので、興味のある方は、ご覧下さい。常套句ですが、あくまで自己責任で。
不明な点がある方は、twitterのアカウントまで、ご連絡頂ければと思います。