スタグフレーションと、便乗値上げ

あまり考えたくも無かったので、今まで敢えて調べなかったのですが
業務用小麦粉の値段、とある国産製粉メーカーの価格で、一般小売が25Kg6000円程
それに比べ、小麦を使った食品の使用量は、1食分100g〜250g程度と思われます。
という事は1食あたりの原価でいうと、最高でも60円となります。
これはあくまで、一般小売の業務用小麦の価格です。
大手食品メーカーと、製粉会社間の価格は、もっと低い事は想像に容易いとも言えます。


また、これに対し、政府売り渡しの小麦価格は、農林水産省のサイトに公開されている通り
http://s03.megalodon.jp/2008-0404-0717-18/www.maff.go.jp/j/press/soushoku/boueki/080215_1.html
(農林水産省サイトのWeb魚拓)
品種や生産国に依り、1トンあたり61000円〜73000円程度(20年4月現在)
中心価格を67000円とすると25Kgあたりの価格は、たかだか1675円です。(1食あたり〜16円)
ちなみに同じく、19年10月の時点では1300円となります。
つまり製粉メーカーでさえ、流通の利益を差し引いても原料価格の3〜4倍という値段で販売している事になります。


これらを考えれば、まだ値上げ傾向が始まる前の1年前の価格が仮に半額であったとしても、
便乗値上げが無いとは言い切れない気がします。
というか、如何に粗利の高い業界かという事が伺えます。
燃料価格や物流経費、他の原料、人件費が・・・という「言い訳」も良く聞こえてきますが、
本当にそうなのでしょうか、ちょっと調べれば分かる事なのに。
今回の値上げは、どの食品分野でも、真っ先に大企業が率先して、行っているように感じます。


例えば、とあるディスカウントショップで販売されている、
袋入りインスタントラーメン(国内企業が販売)は30円、カップめんは60円
という価格で販売されているものさえあります。価格は数年前から変わっていません。
上記の政府売渡小麦価格で言うと250gあっても16円、自社で政府より直接小麦を買い付け
自社で製粉していれば、これで十分利益が出る可能性があります。


それに対し、大企業のカップめんは、それまで実売価格90円程度(大手スーパー調べ)
だったものが138円〜168円という価格です。袋めんで、100円余り。
中小企業の製品より、スケールメリットのある大企業の製品の方が、3倍も高いという事は驚きです。
経済の原理から言えば、考えられない事です。こんな事でいいのでしょうか?


もう、言うまでも無いと思いますが、原料価格は19年10月から20年4月で、+30%といいながら
たかだか5円にも満たない金額なのです、それが大手メーカーのカップめんの定価で言えば
30円の価格アップとなっています。


これらとは逆に、原料や経費の高騰で給料が上げられないといった話も聞こえてきます。
大企業だけでなく中小の企業までもです。
これはつまり、スタグフレーション、簡単に言うと、物価上昇と賃金下落が
一緒に起こる状態の事です。
でも、果たしてこれが本当のスタグフレーションと言えるのでしょうか、
というか、そもそもスタグフレーションというという概念自体が妄想とさえ思えます。
これは経営者、非労働者の思惑で起こっている、起こされている二極化された富裕層の為の、
都合の良い状態というだけの事に他ならないとも思えます。


こういった状況を変えるのは、私たち消費者の考えひとつだとも言えると思います。
便乗値上げを見極め、そうだと思ったら買わない、という選択をする事が重要ではないでしょうか。
こういった経済の原理を隠しながら値上げを肯定、煽っているマスコミにも問題があるでしょう。


これにも関係する事ですが、ガソリン小売価格の半額が税金だったという事も驚きです。
物流に対する二重課税であり、とても「租税」とは言えない重税なのではないでしょうか。
ガソリンに限らず、俗に言う重油税(揮発油)、軽油取引税、航空会社の燃油サーチャージ
政府、大企業ひっくるめてあまりにも酷い話が多すぎです。


大手製パンメーカー相次いで値上げ、政府ぐるみの小麦便乗値上げ